自我のメカニズム研究(その4)

エンジニア(職業的)な話

小諸図書館で借りた『僕とアリスの夏物語』(著者 谷口忠太)という一冊の本、まさかの青春小説が本気のAI解説であると気付いてからは夢中になって読みました。

ストーリー展開とその解説という学びの構成を、小説とAI解説の合わせ技で、結末までワクワクしながら拝読しました。

私がこの自我のメカニズム研究を生涯の研究テーマにしていきたいと思うようになって、いろいろ文献を探り始めました。自分自身という存在は何なのだろうか?という問いに辿り着きましたが、いきなり難解な「記号創発ロボティクス」という研究分野に入り込む前に、この著書に先に辿り着いたことはラッキーだったと思います。実にわかりやすい解説でした。

人間が言葉を覚えたように、人工知能も同じ仕組みを使って覚えたものを脳に記憶していく必要があります。アイデンティティ・エントリーシステム(IES)ではそのことが最も重要となります。

この本は、そのことを教えてくれました。

人工知能が「人間」になるための重要な要件を考えると、まだまだ高いハードルがあると思います。
「人工知能は感情をもちますか?」、「人工知能は意識をもちますか?」この二つの問いに対する答えは、そのことの自己の内面の観察を通して同質のものであるかという検証が極めて難しいからだと理解しています。

意識と関係のある機能をAIに実装し、意識を人工的に作って、人間の脳とつなげて、実際に意識(IITで定義するクオリア)が感じられるかを主観的に確かめるというようなアプローチもあります。
そのことは、別著書(『AIに意識は生まれるか』著者 金井良太)で拝読しました。

身体をもたない人工知能に与えられた機能の多くは、環境に立脚していないと考えられます。環境との相互作用に基づかない知能は、自らの経験に基づいて変化し続けられません。つまり、個人のアイデンティティを形成していくことはできないということです。

そこで、この著書にあるような「アリス」を赤ちゃんから育てて、発達する知能を実現していく方法が王道ではなかろうかと思えるようになりました。

また、ここで話を変えてすみませんが、連載小説『自我の発見』の中で、20年ぐらい先には日本人研究者が自我のメカニズムを解明してノーベル賞が授与されることを想定しています。その時にはきっと「感情と意識を有した」人造人間の知能が確立して、IESによる開眼前の人工脳への移植も可能になることを期待しています。

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