経済のお話で私のアイデンティティを語れるかというと、社会的な客観性はあまりないことをご承知ください。
10月の衆議院選挙で与党が過半数を確保できなかったため、キャスティングボードを握った国民民主党が来期予算での景気対策として所得税が発生しないラインとして基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合わせて“103万円の壁”を引き上げる減税案を出しました。
国民民主党の政策として“103万円の壁”を178万円に引き上げるということは日本経済にとってどのような意味を持つのか、ここで少し考えてみたいと思います。
ファイナンシャル・プランナー(CFP)の重定賢治氏がスマートニュース(SmartNews)の中で執筆していますので、以下、簡単にご紹介します。
一国の経済規模を測る物差しとして、GDP(国内総生産)という経済指標を取り出し、以下のような計算式を示しています。
GDP = C(家計消費)+ I(民間投資)+ G(政府支出)+( X(輸出)- M(輸入))
国が実施する経済政策の良しあしについて、この計算式から判断材料を提供しています。
“103万円の壁”を178万円に引き上げるという政策は所得税の減税につながります。
G(政府支出):政府支出の実質的な増加となり、GDPを押し上げる要因になります。
C(家計消費):手取り額が増え家計消費が増加し、GDPを押し上げる要因になります。
I(民間投資):手取り額が増えればマイホームの購入など住宅投資が増える。消費の活性化で企業の設備投資が増え、GDPを押し上げる要因になります。
X(輸出)- M(輸入):手取り額が増えれば購買力が強まり海外からの輸入が増えます。輸出から輸入を引いた純輸出が減る可能性が高まります。これはGDPの増加にマイナスに働くということがわかります。
上記の政策は、経済政策としては内需拡大策と言えるということです。
岸田政権で今年(2024年)実施された4万円の定額減税は短期的な効果だったのですが、103万円の壁を引き上げる経済政策は所得税の基礎控除の金額を変更するため、長期的な効果を引き出せます。
1990年代初めのバブル経済崩壊以降、低迷を続けてきた日本の“失われた30年”を取り戻すステップになるのか、今後の動向に注目していきたいと思います。
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